【動態管理システムとは?】導入までの流れと活用イメージを紹介

社用車を複数台保有すると、リアルタイムな位置情報やルートの把握を電話連絡で確認して把握するのは限界があります。そこで動態管理システムを利用して効率良いオペレーションが出来ればと検討された事がある方も多いかと思います。
しかし動態管理システムは「自社の環境でも導入可能なのか」「導入しても活用できるのか」「導入には手間がかかるのでは」などと躊躇してしまう事も多いのではないでしょうか。
最新の動態管理システムは導入も手軽で、配車管理や車両管理まで一元管理可能なサービスも多く提供されてます。
この記事では動態管理システムの機能や業界別活用例などを解説していきます。システムを導入する際にお役立て下さい。

目次

動態管理システムとは

動態管理システムとは、車両のリアルタイムな位置情報や走行ルートをオペレーターが把握して、業務の効率化などに役立てるシステムです。
動態管理システムの利用には車両に車載器を搭載する必要があり、スマホアプリ型やカーナビ型のように、車載器に画面が備わる物ではオペレーターからの指示内容を表示させたり、ドライバーから作業の進捗を画面操作にて送信する事も可能です。
近年では動態管理システムを提供するサービスも増え、初期費用も無料で始められるサービスもあり、初めての動態管理システム導入で、利用し易い管理システムとなりました。

動態管理システムの車載器を比較

デジタコ(デジタルタコグラフ)設置型
デジタコ

車両総重量7トン以上、最大積載量4トン以上の車両に義務付けられている法定3要素「車両の速度、走行時間、走行距離」を記録する機能が主になり、GPS情報を使った動態管理でも使われます。

ODB2ポート差し込み型
ODB2ポート

車両自己ODB2ポートとは元々は故障診断機能の接続ポートとして使われ、2008年10月以降に製造される車両には搭載が義務付けらてます。古い車両にはODB2ポートが搭載されてなかったり、動態管理システムの車載器を設置できない古い形式のポートもあります。

シガーソケット差し込み型
シガーソケット

スマホの充電などで電源を供給してくれるシガーソケットを利用します。車を運転するほとんどの人がシガーソケットの位置も簡単に把握可能な場所にあり、設置は簡単です。

専用カーナビ型
カーナビ

カーナビで動態管理を行えるサービスは多くはありませんが、ドライバーが使う画面も大きく操作もしやすいのが特徴です。車載器であるカーナビの設置は、ほとんどの場合が専門業者に依頼する事になります。

専用ドライブレコーダー型
ドライブレコーダー

ドライブレコーダー型は本来の使用目的である車両の外や車内の映像も記録できるので、動態管理システムの車載器とドライブレコーダーを別で設置する必要がありません。ドライブレコーダーの設置も検討している場合は二つの機器を設置しなくて済むので、お勧めの車載器です。

スマホアプリ型
スマホアプリ

動態管理システムのアプリをインストールしたスマートフォンを車内に搭載して、GPS情報などを送受信します。画面を使ったルートの確認やメッセージ機能も使えて機能は豊富です。専用の端末を購入したりレンタルする必要や、設置の手間も無いので導入は簡単です。

運送業界だけじゃない動態管理システムの活用例

動態管理システムは様々な業界で利用され、業務の効率化やコスト削減に貢献しています。ではどんな業界から求められ活用されているのか、業界ごとの活用イメージを三つの業界を例に挙げてみます。

活用イメージ例


ルート営業
営業車

営業車両も業種により業務形態は様々ですが、複数の車両を扱う業種では車両のGPS情報を使い、走行ルートの効率化、重複ルートの解消などに利用されています。その車両情報の見える化が、営業エリアの拡充や営業車両の削減などを判断するデータにもなります。
また、急な移動対応を迫られる業種では、その時に最適な車両をリアルタイムに見つけ出し、オペレーターがドライバーへ派遣を依頼、指示する事が可能になります。これは自社の管理する車両が増えるほどメリットを感じられます。

訪問看護、訪問介護
訪問介護

訪問看護、訪問介護の業界では、看護師や介護士の業務中に、電話にて現場の位置を確認するのも大変効率の悪い作業です。ましてや利用者への対応中であれば電話対応もできません。
動態管理システムを利用し、看護師や介護士の現在地を把握出来れば、急な利用者からの要請への対応にも、一番近い場所にいる車両を見つけ出し、効率よく派遣する事が可能になります。動態管理システムを利用する事により、無駄な人員の削減や、逆に人手不足解消の一端を担う事に繋がります。

建設業、工事現場
工事現場

建設業界では、工事現場に必要な資材の搬入時に、資材を積んだトラックの到着予想時間や、渋滞やトラブルなどによる遅延が起きても、その到着予想時間を動態管理システムで把握出来れば、作業員の施工作業内容も時間に合わせた効率化が図れます。
また、その資材を積んだトラックが現場へ到着する際にも、到着予想時間が把握出来れば、誘導する警備員の準備やトラックの停車位置の確保など、スムーズな車両の誘導も可能になります。

動態管理システムのメリットとデメリット

動態管理システム導入後は、リアルタイムな車両の現在位置などの把握ができ、様々なメリットを受けられます。
では逆にメリットだけではなくデメリットは無いのか、動態管理システム導入前に知っておきたいメリットとデメリットを挙げてみます。

管理者
動態管理システム管理者
・メリット
車両から得られる走行ルートの可視化で、生産性の向上と蓄積されたデータを利用し、運行エリアの拡大や無駄なルートの削減などの効率化に利用できます。
・デメリット
動態管理システムで出来る事や機能を理解した上で導入を進めなければ、動態管理システムを利用するメリットを見い出せず、現場に混乱を招く事態に陥る可能性もあります。
オペレーター
動態管理システムオペレーター
・メリット
電話連絡でドライバーに現在地などの確認をするのでは無く、動態管理システムで車両のGPS情報を把握できます。確認後はルート変更の情報などを動態管理システムの機能を使い、ドライバーの車載器の画面上に直接表示させる事が可能な機能もあります。
・デメリット
動態管理システムの操作に慣れるまでは、ドライバーへの連絡は電話で直接した方が容易に感じる事もあります。
 
 
ドライバー
動態管理システムオペレーター
・メリット
業務の進捗や現在地の情報などを、電話で報告する煩わしさがなくなり運転に集中できます。
 
・デメリット
リアルタイムなGPS情報が把握される事により、監視されてる気になり気が休まらない。管理者は動態管理システムの導入は監視目的ではない意図を伝えて、理解を深める必要があります。

動態管理システム導入までの流れ

動態管理システム導入は、現場の状況も把握せずに無計画で導入してしまっては、十分なメリットを得る事ができません。
事前に動態管理システム導入の目的を再認識する事や、車両に搭載する車載器が互換性のあるものか、などの確認が必要です。他にも契約後に即本稼働ではなく、少数の車両でテスト稼働などを行う事も必要です。自社の環境を理解して導入のまでのステップを明確にする事で、動態管理システムのスムーズな導入が実現されます。

STEP
現場の現状を把握する。

ドライバーとオペレーターとの連携の取り方や、オペレーションの状況を現場からヒアリングして、問題点などを抽出した上で、動態管理システム導入の目的を探り利用価値を探ります。

STEP
解決される問題点、または効率化される点をピックアップする。

問題点に対する解決は成されるのか、どの業務が効率化されるのか、などの項目をピックアップして導入後のイメージを立てます。

STEP
必要な機能面、車両にはどの車載器が最適か検討する。

動態管理システムの機能を自社で使いこなせるか。また車両に搭載する車載器は設置可能か。
ソフト面、ハード面と共に継続して利用可能か、などを検討する事も大切です。

STEP
最小の車両台数でテスト稼働し実稼働に向けての検証を行う。

動態管理システムを、いきなり全ての車両で稼働するのは混乱を招きます。
まずは、サービスのお試し無料期間の利用や、最小限の車両に車載器を搭載して、オペレーションも含めたテスト稼働を行います。

STEP
問題が無ければ本稼働。

テスト稼働で問題なければいよいよ本稼働です。稼働後は利用状況を定期的にドライバーとオペレーターからヒアリングして、稼働に問題がないかの確認を行います。
さらに利用し続けて常に利用価値の追及をする事により、企業にとって無くてはならないシステムと成り得るでしょう。

動態管理システムのサービスを選ぶポイント

動態管理システム導入時は「自社に必要な機能が使えるのか」「余計な機能の方が多いのでは」「車載器の取り付けは簡単に出来るのか」など不安を抱えている事と思います。最低限必要な機能と、車両に搭載する車載器が設置可能なのかを確認する必要があります。他にも事前に確認する項目はありますが、この項目では、自社に合う動態管理システムを提供するサービスを選ぶポイントを挙げていきます。

POINT!

  1. コスト面での費用対効果は得られるのか。
  2. 必要な機能は揃っているのか。
  3. 自社の車両に車載器の設置は可能なのか。
  4. 動態管理システム導入の担当者は決まってるのか。

最低でも上記に挙げた4つの項目は導入前に確認する必要があります。
その項目を踏まえて動態管理システムを提供するサービスを選ぶ判断基準にする事をお勧めします。

スマホアプリ型の車載器で画面を使った機能

動態管理システムは、車両に搭載する車載器をスマホアプリ型やカーナビ型を選択する事により、機能面で他の車載器ではできない画面を使った便利な機能が増えます。
大きな違いは、ドライバーは車載器の画面から情報を送受信できる事です。他の車載器では、GPS情報などを車両から送信するだけの機能から、車載器の画面を使ってドライバーとオペレータをリアルタイムに繋ぎ、情報を送受信にすることも可能になります。そのスマホアプリ型やカーナビ型ならではの、画面を使った便利な機能の一部を紹介します。

車両位置共有

ドライバーは自分の車両の現在地だけではなく、他の車両位置も把握でき、チームで業務を行う事が出来ます。

運転日報作成

車両の速度、走行時間、走行距離など運転日報作成に必要な情報を作成してくれます。

ステータスログ

ドライバーの画⾯から「稼働中、待機中、休憩中」などのステータスを報告する事ができます。

タスク管理

案件完了毎に画⾯上で完了操作する事で、オペレーターも業務の進捗状況を把握できます。

メッセージ機能

電話連絡などでドライバーの運転を止める事なく、連絡事項をドライバーの画面上に表示させる事が出来ます。

まとめ

この記事では、動態管理システムの活用例とメリットやデメリットなど、導入前に必要な情報を解説してきました。
車両に搭載する車載器は、画面を使った機能が使えるスマホアプリ型やカーナビ型を選択すると、使える機能が増える事を理解していただけたかと思います。
初期費用は車両に搭載する車載器を、スマホアプリ型を選択する事で無料で導入可能なサービスもあり、コスト面でも気軽に導入し易くなりました。ランニングコストも業務の効率化でコスト削減を目指して、費用対効果は十分得られます。
また、最近話題でもある企業のDX推進にも大きく貢献できます。
最後に最も大切なのは、命に係わる重大な事故を防げる事が最大のメリットです。作業の効率化やコスト削減を、経費をかけずにアナログな手法で行ったとしても、車両の事故が増えては企業として最大の損失です。動態管理システムは車両をただ監視するだけのツールでは無く、運行の安全と企業の生産性を高める、これからの企業にとって必要不可欠なシステムだと言っても過言ではありません。

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