営業車のサボりを監視する!告知なしでテレマティクス導入は違法?

テレマティクスで営業車の行動を把握する事は、外回りの業務をこなす営業マンからすると「休憩も気軽にできない…」悪い言い方でいうと「サボりもバレてしまう…」さらには「プライバシーの侵害では?」などの声もあがり、テレマティクス導入に反発が起きてる会社も少ないかと思います。実際は監視目的よりも業務の効率化や、事故対応時の証拠データとしてテレマティクスを導入してる会社がほとんどかと思います。この記事ではテレマティクスが監視目的だと違法になるのか、どの様な場合が問題があるのかを解説していきます。

目次

テレマティクスとは

テレマティクスとは

テレマティクスとは、車両などの移動体に搭載された通信システムを介して、離れた場所にいる管理者とGPS情報やデータの相互通信を可能にするサービスです。
テレマティクスの語源は、テレコミュニケーション(遠距離通信)とインフォマティクス(情報処理)を合わせた造語で、そのテレマティクスを使うをサービスをテレマティクスサービスと呼ばれています。

テレマティクスを使った監視は違法?

テレマティクスを使った監視は違法?

テレマティクスにはドライブレコーダー型の端末があり、車内の映像や音声までも管理者に伝わってしまいます。「そのデータは会社を辞めても残ってしまうの?」と会社のテレマティクス導入に不安を感じる方もいるかと思います。その残されるデータのプライバシーの侵害や違法性について解説します。

プライバシーの問題

結果から言えば、テレマティクスの導入は、業務上の必要な行動把握という趣旨が明確で、データの利用に問題がなければ、事前告知無しで導入しても法的に問題はない。との法律専門家の見解があります。ただテレマティクス導入で社員からの反発を生むことは会社としても本意ではありません。導入時は事前にドライバーにテレマティクス設置の趣旨を明確に伝えて理解を得る必要があります。

テレマティクスが違法になるケース

テレマティクスが違法になるケース

本来の目的以外で使用

本来の業務管理や、事故などの検証資料として保管するものを、プライベートを探ったり本来の目的以外で、データを使用した場合は違法性が発生します。
例えば、テレマティクスで知りえた情報から、ハラスメントやセクハラにつながる行動や言動があると、訴えられる可能性もあります。

テレマティクスを導入する正当な理由

テレマティクスを会社が導入する理由

会社の営業車にテレマティクスを導入する事は決して監視目的だけではありません。社員が勤務時間中にサボることは、会社にとって大したデメリットではないのです。それよりも社用車を私的な用事で使い、もしその先で事故を起こしてしまうと、保険の対象から外れてしまうなどの問題も発生してしまいます。他にも、テレマティクスを導入する会社の本当の理由を解説します。

私的な車両利用時の事故

外回りの業務が早く終わったり時間が空いたからといって、私的な用事で社用車を使う事は、会社として好ましいものではありません。もし、私的な用事で社用車を使っている最中に事故に遭ってしまったら、保険の対象から外れる場合もあります。

効率の良いルートを算出

配送や運送の業界では、会社から出された運行計画書通りのルートで走ってもらわないと、その後の計画書を作成する際、データが不正確なものになってしまいます。テレマティクスでコストや効率の良いルートなどを算出して、運行計画書を作成しているので、個人の勝手な判断でルートを変えたりしてしまうと、折角のテレマティクスが活かされない事になってしまいます。

安否確認

車の中で休憩を取るのは間違った行為ではありません。ただ、急な体調不良で連絡もできない状態が長時間続いた場合は、テレマティクスで長時停車の車両を見つけだし、安否確認をとる事もできます。

テレマティクスはデメリットばかりじゃない!

テレマティクスはデメリットだけじゃない!

テレマティクスの導入は「サボりがバレてしまう」や「プライバシーが守られない」などのデメリットを懸念されがちですが、実際のテレマティクス導入は、管理者だけではなくドライバーにとってもメリットが多く含まれます。この項目ではドライバーにとってのメリットをお伝えします。

あおり運転やもらい事故対応

あおり運転や、もらい事故に遭った時は、自分に非が無くても会社や保険会社への説明に労力を使い、事情を解ってもらいにくい場合もあります。映像を取得可能なテレマティクスを導入していれば、証拠映像としてのこるので、検証もスムーズに行えます。

書類作成の時間削減

運送や配送の業務では、業務終了後に運転日報の作成を必須とする会社がほとんどかと思います。テレマしクスを導入していれば、走行距離や走行ルートなどのデータは管理者のもとへ自動で送信され、ドライバーが書類作成を行う必要も無くなります。

運転時の電話対応が無くなる

会社から電話が入り現在地の情報を求められたり、業務の進み具合を尋ねられる場面もあるかと思いますが、テレマティクスを導入していれば、管理者はテレマティクスの管理画面で確認する事ができるので、わざわざドライバーに「今どの辺走ってますか?」などの電話がかかってくる事も無くなります。

効率化されたルートの再設定

急な配送先のキャンセルや追加の対応で、ルートの変更を迫られる場合もあるかと思います。ドライバーは自分でルートを考えなくても、テレマティクスで最適化されたルートを、管理者がドライバーのナビに送信できます。

テレマティクス導入をスムーズに進めるポイント

テレマティクス導入をスムーズに進めるポイント
POINT
事前告知

テレマティクス導入を、事前にドライバーへ伝える透明性が不信感の払拭には一番良い手段です。告知無しに設置してしまっては、その隠ぺい性が誤解を招く事になります。

POINT
就業規則に定める

テレマティクス導入時に、その概要を就業規則に定める事で反発を防ぐ事になり、拒否される事も無くなります。ただし、導入時は社員に対しての導入意図を明確にして理解してもらう事が肝心です。

POINT
データ保管期間の明示

取り扱う映像や音声データの保存期間を定める事も、反発を抑える手段の一つです。自分の映像や音声データがいつまで保管されるのかわからない状態では不安を感じてしまいます。期間を定め、消去する方法も伝える事が、理解を深める一つの要素となります。

テレマティクスで取得可能な情報

テレマティクスで取得可能な情報

テレマティクスは車両に搭載する端末で、取得する事ができる情報に違いがあります。GPS情報などの現在地を取得可能な端末や、車両診断ポートから得られる、燃料の残量やエンジン回転数まで把握できる端末もあります。他にもドラレコ型の端末では車両周りはもちろんのこと、車内の映像や音声までも取得可能です。この項目ではテレマティクスで使われる端末の解説をしていきます。

車両診断システムから得られる情報

車両診断システムのポートから得られるデータで、燃料の残量やエンジン回転数まで取得可能です。自動車メーカーのテレマティクスサービスは、車両のロック忘れやエンジンスタートの情報も把握できるので、盗難防止にも役立てられています。

GPS情報を使ったデータ

GPS情報はリアルタイムな現在地が把握できますが、車速や進行方向の情報も取得できます。営業車のテレマティクスはGPS情報が取得可能であれば十分だと言えます。

ドライブレコーダーの映像、音声

車外や車内の映像以外にも音声も取得可能です。事故や、あおり運転に遭ったときでも証拠として情報が残せます。また、テレマティクスとドライブレコーダーを同じ端末で設置できるので、ドライブレコーダー単体での設置の手間が省けます。

まとめ

この記事は「テレマティクスの導入が、監視目的だと違法になるの?」と疑問に思われてる方向けに、その答えを解説しました。テレマティクスでサボりを見つけ出し、業務時間を適正なものにしようとしても、監視目的だけの利用では、ドライバーに不信感を与えてしまう事になり、会社とドライバーの関係性は悪化する可能性もあります。実際はサボりの監視よりも、業務の効率化や事故を未然に防ぐツールとして利用する方が、利用価値は上がり生産性も向上します。この記事の項目にある「テレマティクス導入をスムーズに進めるポイント」を参考に、まずはテレマティクスに対しての不信感を払拭する事で、管理者とドライバーをつなぐ、業務に無くてはならないシステムになる事でしょう。

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